成田山 萬福院

不動明王

不動明王について

御本尊である不動明王は、「お不動さん」の愛称で多くの人々に親しまれている仏さまです。
右手の利剣は煩悩を絶ち切り、左手の羂索(けんさく)は迷いや苦しみから救い出す縄です。背後の火炎は邪な考えを焼き尽くし、身体の青黒色は外から来る障害や災いを除くことを表します。
見開いた右目と細く閉じた左目は、左道(まちがった教え)を観ず真実を観る目とされ、上下した牙は上に悟りを求め、下には人々を導く事を表します。
人々の煩悩の重さを表した磐石に座りおさえつけ、束ねた髪が頭の上から左の肩に垂れ下がるのは不動明王の慈悲が私たち一人一人にはたらいていることを表しています。
不動明王は「智慧」と「慈悲」を象徴した仏さまです。

当山のご本尊

平成14年の当山移転に伴い新たに造立された御本尊は、全長約3mの総檜造りで、不動明王坐像では日本最大級の大きさをほこります。
それまでの御本尊が胎内佛としてその中に納められています。

そのお顔には「智慧」と「慈悲」の特徴が表れております。
来山した時にはお不動さまの左右をそれぞれ手で隠してご覧ください。
右側を隠すととても厳しいお顔で私たちを導いてくださり、左側を隠すとなんとも言えない慈愛に満ちたお顔で私たちを見守ってくださります。

降三世明王

ごうざんぜみょうおう

顔が四面、腕が八本あり、東方に位置し、阿閦如来(あしゅくにょらい)の化身であります。
三世の主を降伏(こらしめる)することからこの名がついています。
三世の主とは大自在天、その妃の烏摩(うま)のことで、三毒(貪・瞋・痴)並びに二障(煩悩障・所知障)を表します。
その煩悩を象徴する二天を両足で踏みつけており、あらゆる煩悩を除く明王とされております。

軍荼利明王

ぐんだりみょうおう

顔が一面、腕が八本あり、南に位置し、宝生如来の化身であります。
元の言葉となる「クンダリーニ」は水瓶、または とぐろを巻くものの意味があり、“生命力”“再生力”を表します。このことから体にいくつもの蛇を巻きつけています。
あらゆる障礙(しょうげ)を除く明王とされています。

大威徳明王

だいいとくみょうおう

顔が六面、腕が六本、足が六本あり、神の使いとされる水牛に乗っています。
西方に位置し、阿弥陀如来の化身です。別名「六足尊」ともいいます。
元の言葉「ヤマーンタカ」は「閻魔(死神)を倒すもの」という意味があり、人々に災いを及ぼす敵を打ち破り、あらゆる災難を除く明王です。

金剛夜叉明王

こんごうやしゃみょうおう

顔が三面、腕が六本あり、北方に位置し、不空成就如来(ふくうじょうじゅにょらい)の化身です。
正面の顔の五つの眼は金剛界の五智を表し、三つの顔は胎臓法の三部を示します。
「金剛」は邪心・悪心を打ち砕く堅固な智慧、「夜叉」は威徳を表します。
人々を正しく教え導く釈迦如来の教にしたがって、悪心や汚れた心をすみやかに除く明王です。

矜羯羅童子

こんがらどうじ

制多迦童子

せいたかどうじ

不動明王の脇士(きょうじ)です。
矜羯羅童子は身体が白色で蓮華を持っています。やさしいお顔立ちで、正しい教えに従いその通りに行動する“慈悲”のお姿をしています。
制多迦童子は身体が紅色で右手に金剛棒を持っています。厳しいお顔で、災いを除き何事も最後までやり遂げる“智慧”のお姿をしています。
この両童子は不動明王の「自己犠牲をいとわず他者を救済する」奴僕(ぬぼく)の行を表しております。